アンチハイテクノロジー

 古代演劇はむずかしい。
 かつては歴史研究部なんていう部活に所属していた(奈良県なので、巷で人気の「歴史といえば」な戦国時代や江戸時代には脇目もふらず寺社仏閣古墳巡りがメイン)僕の頭の中からは当時の記憶が薄れて久しく、いちいち文献にあたらなきゃ確信が持てなくなってる自分にちょっと呆れる。昔の僕に発注していたら、きっとすごいもの作ってくれたんだろうな。なんせ中2のころは文化祭に向けて仁徳天皇陵3000分の1模型とか作ってたからな。そのくせ日本史32点だったけどな。
 ましてや劇中の設定はリアルタイムの(でもパラレルワールドの)古墳時代。となれば、資料に載ってるような錆だらけ欠けまくりの品々を模造したって仕方がないのです。必要とされているのは、錆だらけで出土した物たちが現役だったころの姿。古代人のセンスを踏まえつつ、芝居向けにアレンジを施して現代の舞台上にポンと投げ出せるデザインで復元する作業。その割れを、欠けを、ヒビをサビを、文字どおりハイブリッドな妄想で埋めつくして蘇らせなさい、という無理難題に苦しみながらも、諦めようとする意思が僕に全く生まれないのは何故だろう。県民性か。県民性がそうさせるのか。