寝起きの思索に着地点はない

 朝、起きる。と、頭が敷布団エリアから飛び出していることが最近よくある。つまり、僕の体が敷布団に対して30cmほど平行移動したことになる。そうやって僕の座標がズレたことにより、枕の上に乗っかっているのは頭ではなく肩とか背中で、結果的に軽いブリッジ状態で目が覚める。当然、不自然な体勢なので寝違えたみたいな痛みも走る。
 寝相が悪いとしても人間の体は棒状なんだから、横に転がっていくことはあっても縦に平行移動なんてありえないだろう、とか思っていたんですが、今朝、何度目かの不穏な目覚めを迎えたあとに、ひとつの仮説に行き着いたのでした。

  1. 急に寒くなった。
  2. 首もとが寒いので毛布を引き寄せる。
  3. 足が毛布からはみ出す。
  4. 今度は足が寒いので毛布の中へ戻ろうと体全体が前進。
  5. 足が毛布に入ったことにより、今度は首もとが毛布からはみ出す。
  6. 2に戻る。

 ああ無限ループプログラム。そうすると理論上では、僕はどこまでも寝たまま進んで行けることになる。窓を突き破り、ベランダを乗り越え、ひとんちの茶の間を横切って、やがて大海原へと辿り着くだろう。しかし「ついに自由を手に入れた!」と快哉を叫ぼうにも眠っているから不可能だし、だいいち起きなきゃ溺れてしまう。自由の代償は水圧のように重い。
 なんの話でしたっけ?