長いトンネルを抜けると長い長いトンネルの始まりであった

 8割方完成した小道具を、実際使う役者に使ってみてもらおう(その結果次第で残り2割の作業内容が変わる)と思い稽古場に持参。そしたらみんな苦笑い。どうした、まさか、そういうことか。みなまで言うな顔見りゃわかる。
 ワークインプログレスをご覧になった方の目にも本番は間違いなく『新作』として映るであろう怒濤の変更が加わった決定稿が本日到着したのです。ほぼラストスパートに差しかかっていた(などと思い上がっていた)僕のゴール地点は蜃気楼に過ぎなかったのだと知らされる。「本番までまだ一週間もある」という、ちょっとした気の緩みを成島氏に素早く察知されてしまったらしく、新たに設置されたゴール地点は崖の上。一気に背筋が引き締まる。
 とうてい登れないような切り立った崖なら諦めるんですが、工夫次第でなんとかなりそうな気配がしないこともない斜面だし、なによりその崖の上から見える景色の、つまりこの小道具による演出効果が決まったときの美しさが容易にイメージできてしまうだけに、その景色を成島氏以上に僕自身が見てみたくなってしまっているだけに、「本番までもう一週間しかない」というのに、今から非情のロッククライミング