新釈・ハードボイルド

JACROW 「斑点シャドー」
作・演出:中村暢明

@下北沢OFF・OFFシアター

 舞台上には斜めにぶった切られた日本家屋、それを照らすは極彩色のムービングライト。これから何が起こるか分からないとしても、絶対に只事じゃ済まないことだけは開演前から分かる異様なミスマッチの光景。タイトルコールの聞いたこともないようなタイミングに尚更心奪われる。
 あるものとないものと見えるものと見えないものが入れ替わり立ち替わり、防犯カメラの映像を検証するように巻き戻っていく時間。暗黙の了解で成り立ってた位置関係や移動法則を、ときどき完璧に裏切って横切る人間の不気味さとか。
 「2フロア兼用」という空間活用が自然すぎるからか、あるいは「時間が戻る」という物語進行が不自然すぎてそればかり追ってしまうからなのか、次々と現れては消える小道具たちが手品でも見せられてるように「いつからそこにあったのか」全く気づけない。赤いグラス、ゴミ袋、破られた選挙ポスターほか。