情報過多式自爆テロ

柿喰う客 「真説・多い日も安心」
作・演出:中屋敷法仁

吉祥寺シアター

 すでに確固たる評価を得ている劇団に対しては「どうせ面白いんでしょ、けっ」とか意味不明の僻みを抱いてしまい、なかなか見に行かないのが僕の悪い癖。面白いって分かりきってるものを面白がってどうすんの、って持論もあって、わかりやすく楽しめるものよりは一瞬先がどうなるのかさえ解らないもののほうが好みだったりするのです。そんなわけで敬遠気味だった柿喰う客、ついに初見。
 ちゃぶ台を豪快にひっくり返す芝居だと思ってたんですが、ちゃぶ台が自重でひっくり返るまで上に物を載せ続ける、という策略にまんまとしてやられる。上演時間120分で出演者全38名、とすれば単純計算するかぎり1人4分も喋れないわけで、そんなの成立するの? とか勝手に心配していたら、開演直後にそれに対する完璧な答えが用意されていて面喰らう、あ、間違えた、柿喰らう。どうしようもない馬鹿騒ぎを挟み撃ちにして世の中に吐きかける一滴の唾の威力。