天国から地獄を見下ろすように

サンプル 「家族の肖像」
作・演出:松井周

@五反田アトリエヘリコプター

 最高のアングルから眺める最悪の人間模様。
 眼下に広がるその光景は、フラットな舞台で見たなら感情移入でもして息が詰まりそうな感触ですが、あいにく客席と舞台との位置関係により『自分には関係ない』と観る側の心理も悪趣味にならざるをえない。しかし、深淵を覗く者はなんとかかんとかって言葉があるように、酷いシーンで大笑いした瞬間に自分も背後から別の誰かに笑われているような錯覚が起こるのでした。
 手当たり次第にガムを投げ捨てるカタルシスは何物にも替え難い。