追い詰められて世界は回る

properties2008-10-18


 いつものことですが、ついに突入しました小屋入り3日前の修羅(いつもより3割増)。稽古場にいるのに目の前の稽古もほとんど見られず、右手を水溶きボンド素手塗りでベタベタさせながら左手に持った携帯でクロムの打ち合わせメールをやりとり、膝の上に得体の知れない物体を抱いてプラスチックの溶ける臭いに鼻を歪める八面六臂の四面楚歌。
 それでも、視野の隅にちらちら入ってくる仮組みの舞台美術は『OFF・OFFシアターでそれやっちゃいますか』的な驚きと美しさに満ちていて、俄然奮い立たされる。一度でもあの劇場の素舞台なり平面図なりを見たことがある人なら、ふつう回避するであろうその機構が実際に動いている。こんなふうに不可能を可能にされてしまったら僕も辞書に燦然と書かれた不可能の文字を必死で消しゴムがけするしかありません。まずは手始めに5日かけて作ってOKが出なかった小道具を3時間半で作り直す。これは快挙というべきか、前のやり方が悪すぎたというべきか。間に合え。