呼び覚ませジャメヴュ

ニカセトラ

ニカセトラ

 「歌のコーナーになるたびにチャンネルを変えながらドリフ見てた世代」の僕にとって昭和の名曲は長らくの間「なんか古くさい歌」であり、良い悪い以前に聞く対象でさえありませんでした。そんな僕の偏見・先入観を取っ払って、たとえば斉藤由貴の『卒業』がどれだけかっこいい曲か懇切丁寧に教えてくれた二階堂さんは僕の唯一の「うたのおねえさん」だといえるかもしれません。むかし公式サイトの期間限定ダウンロードで、本来デュエット曲であるはずの『男と女のラブゲーム』を一人でクルクル声色変えて歌ってるのを聞いたときは鳥肌が立ったものでした。
 そんな「うたのおねえさん」的側面の集大成ともいえる今度のアルバム。誰もが知ってるあの歌から誰も知らないあの歌まで、その稀有な歌唱力が原曲と張り合うためではなく、原曲の良さを何倍にも引き伸ばすためにだけ使われているところが素敵。何度も聴いたことのあるフレーズが予想外の角度にカーブしながらアタマとココロを貫いてきて、涙腺ゆるみっぱなし。