140キロが140キロで

ベトナムからの笑い声 「タショウノハンデキャップハクレテヤル」
脚本:黒川猛

@京都・スペースイサン東福寺

 せっかく名古屋まで来たのなら京都も行ってしまえという浅薄な動機から、まさかの2都市ハシゴ観劇。驚くなかれ皆様、僕が一番驚いてますから。あ、意外と簡単に行けちゃうんだ、という純粋な発見の喜びと、そして4年ぶりに観る京都のベトナム

  • 数多の弱点欠点を背負った悪の怪人たちが博士に抗議する「アームストロング将軍」
  • 松田優作風のドラマを演じようとするが脚本がマニアックな野球話ばかりで伝わらない「バッティングセンター物語(舞台版)」
  • 7年ぶりに再会した怪盗三姉妹は一人が男になっていた「ギリギリキャッツアイ」
  • 事前に観客が書いて提出した『いつ』『どこで』『誰が』『何を』『どのように』『どうした』の各カードを無作為に組み合わせてできた物語の『なぜ』をその場で答える「奇跡の瞬間」

 以上の4本立て。ベトナムのやってることは基本的にはコントなんだとは思うんですが、時々その『コント』の定義という名の額縁を信じられないような怪力で突き破る(あるいは捩じ曲げる)癖があって、それが「笑えなかったとしても、誰かが笑うまでやる」という頑なな信念に支えられている気がするのです。なにより「奇跡の瞬間」、こんな(下手すれば全く笑えなくなる危険と隣り合わせの)リスキーな即興に、よりにもよって脚本家自らが受けて立つ度胸には参りました。『真夜中に/右辺で/元近鉄の水口が/ネコを/釈迦のように/躍り狂った』、『なぜ?』。確かに、答えられるのはこの人しかいない。