くまなく塗り潰せ四色で

toi 「四色の色鉛筆があれば」
作・演出:柴幸男

三軒茶屋シアタートラム

  1. あゆみ
  2. ハイパーリンくん
  3. 反復かつ連続
  4. 純粋記憶再生装置

 共通項は「つながり」。シアタートラムの寸法を5メートルから100億光年まで伸縮自在に行き来しながら、星座のように役者の点と点が線で結ばれていく。シンプル・イズ・ベストを体現したような大草原的傑作。ただまあ勝手なことを言わせてもらうと、こういう「ほぼ素舞台で映像や音響のギミックもなくて役者の体と声だけで成立してる作品」みたいなのを見せつけられると、小道具係としては心底悔しい限りです。言ったってどうにもならんし、この作品のよさは微々とも揺るがないのだけど。よくない、よくないよ僻みは。
 タイトルだけ聞いた時点では一番の心配作だった「ハイパーリンくん」ですが、10人の生徒と先生からキャンプファイアのように囲まれて、見事に宇宙の果てまで連れて行かれました。一瞬ほんとうに身体が無重力を感じた。暗闇の中でも声がする方向には人がいる、という素朴な喜びに酔う。