遅延

the end of company ジエン社 「ゴーストニートアレント
作・演出:作者本介

@高円寺明石スタジオ

 『努力は必ず報われる』みたいなことが当たり前の美徳として備わっている世の中で、一貫して「やる気のなさ」を作品として発表し続けるジエン社の背徳美に、僕はもう客観的な評価を下せないくらい心酔しちゃってるのですが、それでも初めてジエン社を観たのが20歳を過ぎてからで本当によかったと思う。高校時代の、感受性が負に傾いていたピークの状態で出会ってたら、そのまま呑み込まれていたに違いないから。
 余命1年と宣告されてから3年経った彼女、一瞬で散る桜、趣味レベルでの建設反対運動、自称『自称医者』、秘密を守らない探偵、いきなり死ぬミラーマン、テクノに音量で負ける政論、猫タイ、昔は社長で今ニート、観葉植物彼氏…ナンセンスがナンセンスとしてすら機能してくれない、受け入れる以外なにもない世界は尾崎放哉の境地。ドラマが皆無だと否応なくドラマを期待してしまう僕らの延髄に、ぬめった感触の何かが振り落とされる。生きてるとか死んでるとかが心底からどうでもよくなる瞬間と、そのあとにワンテンポ遅れてくる取り返しのつかないあの感じ。