粗末にする美学

 さんざん好きだ好きだ言っておきながら未見だったシュヴァンクマイエル御大の短編『フード』をようやく見る。
 幼少期に何があったのか勘繰らずにはおれないほど圧倒的な食への悪意。絶対ダイエットに向いてると思います、この映画(食事中に流すだけでOK)。日本のテレビでこんなの放送した日にゃ拍手のかわりに苦情の電話が鳴り止まないのは目に見えていて、そういう「タブー踏み越えた感」から一人でゲラゲラ笑いながら観る自分を、どこか一歩引いた客観的な自分が嫌そうな目で見てたりもして、こういう良識と本心が引き裂かれる感触が御大の魅力なのは言わずもがな。