救済プランA

カスガイ 「リビング」
脚本:登米裕一(キリンバズウカ)/演出:玉置玲央(柿喰う客)

王子小劇場

 説明されるまでは何の異常もないリビングルームに、モノポリーとか悪い虫とか意味ありげなアイテムが散りばめられている。と知るのは後からであって、一見したかぎりでは本当に、本当に何もおかしなところのない「開演前の」リビング。そのだらだらした感触が、潔癖症の人の部屋に土足であがりこむような後ろめたさでじわじわ迫ってくるのです。
 バッタとゴキブリの被り物が登場した途端に、さっきまで笑って見てたのに真顔になってしまって、ああもっと前のほうの席に座っていれば、とか、縫い目どこ?縫い目は?とか、観劇を邪魔する煩悩雑念にとらわれ出す。いい加減にこの悪い癖を直したいです。バッタの後頭部ばかり追ってないで演技を見ようよ演技を。