宇宙は背中を見て育つ

味わい堂々 「宇宙を育てる」
作・演出:岸野聡子

@中野スタジオあくとれ

 味わい堂々の美点はいくつもありますが、最大のポイントは「解散する気配が全くない」ってところじゃないでしょうか。少なくとも「方向性の違いにより解散/脱退」みたいなことは絶対ない、と部外者の僕が断言できてしまうほどの重心の確かさ。
 なにより味わい堂々を名乗る3人が互いに引っ張りあうロープは一切歪みのない正三角形を描くから、そのサンカクの中では何をやってもコミュニケーションが成立していて、それが本当に心地いいのです。
 どいつもこいつも自分のことばかりで手一杯で、時間軸上を点Aから点Bまで移動している。フィクションだろうが何であろうが、あんな人たちが生きているってだけで僕には希望であり喜びでもあり。
 大多数の演劇が感情表現を通して何かを伝えたり、何かを表現する道具として演技力を使ったりする中で、ただ登場人物の喜怒哀楽を見てるだけで満足できる芝居って稀少だと思います。簡単に言うと「本当に美味しい白米は惣菜なんてなくても食べられる」ってことです。