桁外れの唯一感

本能中枢劇団 「シリタガールの旅」
作・演出:西島明/振付:山田うん

こまばアゴラ劇場

 元関係者として、いろんな人から怒られました。「あの解散はなんだったんだ」って。うるさいよ、うれしいよ。そんなのこっちが聞きたいよ。ポスト・ベターポーヅ再旗揚げ公演。
 はじめから演劇畑で生まれ育ったわけじゃない僕にとっては、知識としてしか知らない「世界のニナガワ」よりも、目の前で見続けてきた「ニシジマの世界」のほうが何倍もリアルなのです。ワカラナイという感覚にハンカチかぶせられて、3つ数えればキモチイイに変わってる。全身を内側からくすぐられるようなあの感触を、また味わえる日が来ようとは。
 起承転結だけが物語じゃないこと、言葉よりも言葉尻こそが重要であること、感動するのに脈絡なんか必要ないこと、エンドルフィンさえ出れば芝居は見れること…僕がベタポから教わったことは数知れません。そのすべてを余すところなく詰め込んだばかりか、見せたいシーンと言いたいセリフ以外のすべてを削ぎ落とし、最初から最後まで一度も収縮することなく無限に広がってゆく80分の愛にまつわる超短篇アンソロジー