餅屋の前で餅を売るな

  • 自分で自分の営業妨害をする必要もなかろうと思って今まで黙ってましたが、こちらのスタンスをある程度明確にするために、手の内曝します。
  • われわれみたいな特殊スキマ専門職にとって最も恐いのは「タダ働き同然」よりもむしろ「戦力外通告」なのです。まだこちらが何の条件も提示しないうちから「うちは予算がないので、ごめんなさい」と断られたりすると、そのくせ観に行って他のスタッフワークが充実していたりすると、なんかもう、イーッてなる。ましてや僕は「10年に1人の被害妄想の才能」とまで言われた男(実話)なので、歯痒さにハンカチーフを噛み千切ったり、涙で枕を水枕に変えて眠る日もある。
  • どこも不況なのは重々知ってますよ。でも舞台監督や音響や照明を雇うのには手を抜かないのに、小道具だけは自分たちで何とかしますっていうのは、それは差別じゃないでしょうか。根本的なことをいえば小道具が「自分たちで何とかできてしまう」ことにこそ問題の本質がある気はするんですが、そんなもの作る時間があるくらいなら、あなたたちは稽古に集中してください。そんなもの作るために僕らがいるんです。
  • というわけで、条件つきではありますがNichecraftはお得な料金プランを多数用意してお待ちしています。ご検討を祈る。
旗割
旗割とは「旗揚げ割引」の略、旗揚げ公演を行なう劇団に対してのみ適用されます。劇団史全体の中で「旗揚げ」は「それ以降」よりも遥かに大変な作業です。旗揚げに失敗すると以降が総崩れになること請け合い、なのに全てが「やってみないとわからない」。そんな最難関最重要イベントをともに乗り越え、将来的には「旗揚げ当初からの長い付き合い」となれることを前向きに検討していただくための、お互いにとっての腹の探り合いプラン。予算・メンテナンス、その他諸々格安でお受けいたします。
初割
初割とは「初めまして割引」の略、初めて一緒に仕事をする劇団に対してのみ適用されます(旗割との併用は応相談)。公演が終了してから、実際の「お役立ち度」に応じて対価を採点・計算していただく後払い方式を取ります。自分たちの劇団にとって利を為すか害を為すかも判らない初対面のスタッフに高い金は出せない、という慎重派のあなた。ダメだったらダメだったと言ってほしい、良かったなら次回も一緒に作り上げたい。口には出さないまでもお互いそう思っているであろう同士のための痛み分けプラン。
出世払い割
出世払い割の適用は、お互いの合意による継続的な起用を大前提とします(つまり、先に「次回もよろしくお願いします」という約束ありきで発動します)。提示額が予算に満たない場合、そのうち何割かの支払いを次回公演以降に繰り越す長い目プラン。とある音響さんの一言に感銘を受けて施行に踏み切りました。
偏愛割
《わたしたちは金儲けがしたいわけじゃない、面白いものに首を突っ込みたいだけなんだ》。Nichecraftスタッフが惚れ込んだ劇団に対して一方的に適用する、利益度外視、独禁法違反の片思いプラン。(正の整数でさえあれば)それがどんな数字であろうと「現時点で支払える言い値」で引き受け、対価以上のサポートを惜しみなく注ぎ込みます。