栄華の一族

イデビアン・クルー 「挑発スタア」
振付・構成・演出:井手茂太

@にしすがも創造舎

 インタビューで読むかぎり、解散ではなくカラッとした休暇といった感じなので心配はいらなさそうですが、やはり惜しいとか寂しいとかいう思いは拭えず。コンテンポラリーダンスなどという、聞くだけで「コ、コン…ポン?」と混乱を来しかねない横文字並びで必要以上に高く錯覚されてしまっている敷居にそっとスロープを付けるような、コンテンポラリー・バリアフリー・ダンスが当分見られないのは残念。
 台詞がなくても聞こえなくても服装と佇まいと位置関係だけでストーリーが追える(というより頭の中で捏造できる)日本で最も演劇に近いダンス、てんこ盛り。横幅の広い舞台をめいっぱい使った大群舞は、人間の視野で一度にすべてを追えない造りになっていて「ああ、ひとがいっぱいうごいている」というバカみたいに率直な感動の言葉を口から洩らさせます。
 タイトル通りに現れた「スタア」が見せるマクロからミクロ、壮大からチマチマへの転身が素晴らしい。