救命過去病棟2076

カムヰヤッセン 「トラベリング・オン・ザ・シャーレ」
脚本・演出:北川大輔

 いわゆるタイムパラドクスの解決法ってのはある程度パターンがあるので、どうやってもそこだけは予想の範疇に収まってしまうものですが、けれどもそれは「最後までSFとしてケジメをつけなければならない」という枠に囚われていればこその話。誰の目にも明らかな大団円のドサクサに紛れてS(サイエンス)の柵をヒョイと乗り越えて去ってゆく手際のよさに膝を打つ。
 顕微鏡があれば微生物を観察できるだなんて単なる思い込みで、ひょっとしたらテレビの中に人がいると思い込んでた昔の人と同じなのかもしれない。人間は微生物じゃないんだから、いくら観察しても微生物の生態なんて本当は絶対わかるはずがないのかもしれない。作品の意図とは全然ずれてるんだろうけど、そんなことをふと考えたりして。
 なぜクロムの笠木さんが音響をやっているのかが明らかになるラストシーンは必聴。