思い出はいつも芋づる式


 「怒りに我を忘れる」のジェスチャーゲームだとしたら最高の模範解答みたいな大人を通勤途中の道端で目撃。そりゃあもう凄まじい剣幕だったのですが、人は本当に怒ると携帯電話をあんなふうに持つのだな。勉強になりました。
 そういえば僕は上京してからというもの怒ったことがない。もちろんイラッとしたことはあるし、お小言・説教・愚痴・毒舌モノローグのたぐいなら時折することもありますが、相手に面と向かって怒りを爆発させるようなレベルまで達したことは一度もないと言っていい。
 たぶん、この28年で僕が感じた過去最大の怒りは「小4のときにツチハシと名乗る見知らぬ小2の男にいきなり呼び出され、みぞおちをぶん殴られて職員室前でわんわん泣いた」ときであり、それを上回る理不尽な出来事に未だ出会っていないのです。あ・れ・は・今思い出しても理不尽だ。なにしろ初対面だ、ツチハシとは。それに輪をかけて理不尽だったのは翌日、今度はこちらから呼び出してリベンジを果たしたら「4年生が2年生をいじめてる」といって怒られたことだけど。
 今なら許せるだろうか。何を? ツチハシを。どんな人生においてなら「互いの腹にパンチを一発ずつお見舞しただけの仲」なんて人間関係があるものか。まあ、ですからあれに比べれば演出家の少々のわがままなんて赤子に手をひねられたようなもんですわ、確かに。
 逆に自分でも興味あるのは、そんな今の僕を本気で怒らせたらどうなるのかという仮説。ストレスを内に溜め込むタイプとして地元じゃ有名だったから、貯蓄には自信があるよ。さぞかし壮大なプログレッシブジャックポットが...