免じて許して


 免許証(ゴールドペーパー)更新のために早朝から都庁へ赴く。順調に凋落しつつある視力を憂いてこの日のために眼鏡まで新調したというのに、たいして苦戦もなく3問連続正解でスンナリ通過。
 しかし、なんでしょう、このベルトコンベアに載せられた荷物のように窓口から窓口へと引き渡される感触は。自分が書類の上にだけ存在する架空の生き物にでもなったみたいだ。上京して数年でようやく完全に払拭できたと思っていた「地方の人間が考える東京人のイメージ」を地で行く、人間味あふれざるる超絶ドライな対応にカルチャーショック。そっか、だって都庁だもんな。これこそが東京の本気というやつか、と。講習の間中ずっと頭の奥でアーバンギャルドの『東京生まれ』が耳鳴りのようにエンドレスで鳴ってて全然集中できず。
 新旧2枚の免許証を見比べてまず思うのは「中型免許に変わった」ことでも「ICカードに変わった」ことでもなく「たぶん自分の頚椎は歪んでいる」ことです。以前の写真も今回の写真も、わざとやってるのかと思うほど明確に首から上と下で中心線がズレている。これは何だ、何なんだ。怖いよもう。とりあえず「着ている服の襟のほうが歪んでる」という結論に強引に持ち込んで自己完結しましたが、それはそれでちょっとなあ。