天野桟敷からコンニチハ
@下北沢ザ・スズナリ
生まれて初めてちゃんとした形(映像や写真じゃなく)で観る寺山作品が、よりにもよって天野演出というのは幸福なのか不幸なのか。テラヤマとテンガイがテにテをとりあったら最強に決まっているじゃないか。
開演するなり送り火のように点いては消えるマッチ棒の灯りで、劇場全域を覆う懐かしい燐の匂いに恍惚としながら暗転。思えば、すでにこの時点で35年前に連れ去られていたのでしょう。だから19時から21時までの間、2009年現在のスズナリ内にはきっと誰もいなかったに違いない。
何度見ても同じことばかりやってるのに何度見ても二度と同じにならないのが天街マジックですが、映像とか美術とか音響照明きっかけ仕掛け転換割り台詞、もういい加減出尽くしたろうと思ってた引き出しの底から、まだ眠ってたフルサイズの龍が立ち昇る。毎度のことながら瞳孔ひんむいて見とれるしかなかったです。