ティンカーベル・シンドローム

ロロ 「LOVE」
作・演出:三浦直之

王子小劇場

 2010年芝居初めは王子から。いままでのロロも回を追うごとに常に最新作=最高傑作だったのですが、なんかそういう「ほかと比べてああだこうだ」って概念そのものから軽やかにスポンと飛び抜けたような印象の今回。
 恐ろしいことに、古代ギリシャから現在まで延々やってるにもかかわらず、演劇にはまだ掘り残された鉱脈がわんさかある気がしてならない。ロロを観るたびそう思うのは僕だけじゃないはずで、なんならロロは今までの演劇が食べ残してきた部位の旨味を知っていると言ってもいい。
 CGを使わずとも人は発光できるし、比喩表現じゃなくても人は光になれるし、どこから手をつけたらいいのか皆目見当もつかないくらいぶっ壊れたコミュニケーションでも、両者が本気なら届くからきっと意味なんてわからなくてもちゃんと泣けるのです。「ケーブルの生えてる子、好きだよ」って台詞に度肝を抜かれ、ハート型のミラーボールに感動し、アフタートーク佐々木敦氏が命名した『メタ胸キュン演劇』の称号に深々と頷いてしまう。
 どうしても一言挨拶しておきたくて残ってはみたものの、先に書いた通り声がほとんど出ない上に腹まで痛くなってきたので已む無く何もせず退散。しかし三浦氏といつか何か(小道具)やってみたいとの思いは依然として強いのです。どこぞで千の風の噂のひとつとなって、届けこの思い。