超ウルトラ糠に釘

ぬいぐるみハンター 「埋没おんな」
作・演出:池亀三太

@下北沢GAoh!

 活動休止前に僕が唯一観たのは『髪型があっ!』なのですが、「開演して5分と経たないうちに女の子がバケツいっぱいの血糊を頭からかぶり、それを片付ける様子がオープニングダンスと化してゆく」という衝撃映像、いや映像じゃないんだこれが、衝撃実像を見せられてからというもの、ぬいぐるみハンターへの興味は尽きませんでした。何を考えてるのか、何も考えてないのか、その境界線に張られたタイトロープの上をブレーキの壊れてサドルも盗まれた自転車で疾走する危なっかしさがゾッとするくらい素敵だったのでした。
 劇場というよりは物置みたいな極小空間にすし詰めの客席と、その物置の一角を透明なパーティションで区切ったみたいな極小舞台上にざっと100人分以上の衣類、の下から続々と湧き出してくる役者たち。狂った世相を斬ると見せかけてボールペンの先で小突いて逃げるかのようなフヌケた展開も、やる気と完全に縁を切ったかのようなフヌケたダンスも、徹底的にすっとぼけたテイストの中では輝いてさえ見えてくるから不思議。とても台本があるとは思えないほどの流暢さでグダグダになっていく女子3名の会話力には参りました。