逆回転する大団円

TheStoneAgeブライアント 「胸に突き刺さった5時43分21秒」
作・演出:鮒田直也

@新宿サンモールスタジオ

 過ぎ去りし00年代を主に冷笑でやり過ごしてきた僕ら世代にとって『熱い芝居』は鼻で笑われて終わってしまいがちなのですが、緒方さんの放つ熱量はそういう理屈の鼻をへし折らんばかりに殴りかかってくるのです。初めて会った2年前から断固として「東京は怖い」と言い続けながら東京で芝居やっている矛盾した熱量も、同じ関西人の僕に物凄く親しげに接してくれるのに京都出身だと勘違いしていた(奈良です)適当な熱量も。
 「あるものはある、ないものはない」という言葉が暗示するものを信じるなら、あの一見どうにも救われないラストシーンの裏には全く別のハッピーエンドが隠されていたように思えてならないのです。