焦げた十年

monophonic orchestra 「センチメンタリ」
作・演出:須貝英

@横浜STスポット

 舞台上に死人は出てこないという当たり前のことが、舞台美術が全体的に白いという普通のことが、じわじわと心臓を揺らしてくる。落葉を踏む音しかしない抽象的な山の中の出来事。
 死人に口なしとはよく言ったもので、残された側は口々にわめき散らしたり呟いたり嘯いたりしながら理由をでっち上げて納得して平静を取り戻したふりをしてやってかなくちゃならない。直接確かめられなかった事実とか、直接聞けなかった謝罪とか、直接責められなかった過失とか、とかを。
 ヘリコプターの轟音に掻き消されて聞こえなかった台詞が印象的。