タタキバレスネス


 『昆虫大戦争』の小道具思案中。なかなか閃きが降りてきません。おかしいな、いつもなら、もうそろそろ。あ、見えたかも。あ、逃げられた。の繰り返し。
 誰が言ったか(おれだ)、小道具は一生にして成らず。6年やってても手探り感は払拭できません。確率的にゼロじゃないとはいえ、なにしろ二度と同じものを作ることのない仕事、そして同じものを作った経験のある人も二人といない仕事。誰に尋ねても答えなど教えちゃもらえませんが、逆にいえば誰も答えなど知らないともいえてしまいます。だから小道具は細心の注意を払って大胆な嘘をつかなきゃならない。あたかもそれが答えかのごとく何かをでっち上げなきゃならない。
 それは役者も同じことで、っていうか役者のほうが余程「前例のない嘘」を要求されてます今回。昔のこゆび侍を知っていればこそ別段驚きもしなかったものの、冷静に考えてみれば相当特殊な役柄だし、すでに「特殊」のひとことで片付けられるようなレベルでもないと思う。一体どんな嘘をつけば役者の身体にソレが乗り移るのか。こんなときグレゴール・ザムザならどんなふうに演じただろうか。
 その難しさに比べれば小道具の悩みなどちっぽけなものです。とはいえ、でっかいけどな。とどのつまり「小道具がでっかい」ってことで悩んでるんだけどな。これ、作れたとしても稽古場までどうやって運べばいいんだ。どんな顔して電車に乗ればいいんだ。