たのしい気分になます

ナカゴー 「リベンジャーズ・トラジディ」
作・演出:鎌田順也

王子小劇場

 大量の血糊とポップコーンによってずるずる、ざふざふした床の上を這いつくばりながら、足を滑らせながら繰り広げられるバースデイ復讐譚。既存のカテゴリーに強引に当て嵌めるなら「脱力系スプラッタコメディ」(なにそれ)なのだけど、到底その枠には収めきれない説明不可能な空気感が全体を支配していたと思うのです。
 なにしろ同時多発会話、モノローグ、セリフの間合いから世界設定、舞台監督の見切れに至るまで、あらゆる瞬間・あらゆる表情が常に事故り続けているという奇蹟のような舞台。それも生命にかかわる大事故ならともかく、時速3kmで走る車にひき逃げされるがごとき鈍痛の群爆発。含み笑いをベースに失笑と苦笑を積み重ねて爆笑に匹敵する高さまで届かせてしまうスタイル、合わない人にはとことん合わないだろうなとは思いますが、少なくとも僕は客席で笑いを噛み殺そうとして腹筋つるという大事故起こしてました。