四谷怪談・マスト・ゴー・オン/遠隔操作の岩井です
古典作品の持つメッセージ性を再現(代弁)する、だなんて御大層な使命感からは清々しいくらいスッパリ切れた「古典にツッコミを入れる」シリーズ第2弾。
今回はあの四谷怪談を換骨奪胎、いやむしろ骨でダシ取ったスープに浮かべたマルチアングル悲喜劇。まあ僕だって原典読んでないから偉そうなこと言えませんが、きっと本家『四谷怪談』には登場してないであろう要素(ドッペルゲンガー、インカム、変装術...)てんこ盛りで、愉快愉快、と思うや否や急転直下で訪れる小カタストロフ。それはどこか「居酒屋でハシャギ過ぎてグラス倒して割っちゃった瞬間」の、高揚したまま行き場を失ったテンション、厨房の奥から次々に出てくるタオル、破片を踏まないようにとりあえずじっと立ってるんだけど何を話すでもなく曖昧に笑ってる人たち、といった状況が連れてくる、あのなんともいえない苦い哀しみにも似てる。
『男の旅』は打って変わって落語を口語でやる、しかも落語を演劇でやる、という試み。口寄せあり、ホワイトボード漫談あり、要するに何でもあり。それでも話の入口と出口が完璧に落語のそれで膝を打つ。