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犬と串 「暴くな」不知火チームVer.
作・演出:モラル

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ

 20時開演で2時間級の作品やっちゃうとか、劇場内に空調機器が一切ないとか、そんなビハインドをすべて背負い投げて余りある超弩級ショータイム・フィクション。「無駄にテンションが高い」のではなく「テンションの高さを無駄にしない」犬と串ならではのエネルギー放射。
 客いじり以外の方法で客席をぐんぐん巻き込みながら、集団心理を味方につけて理性も分析もいらない世界へとブレーキ踏まずに突っ込んでゆく。演劇が演劇であることを自覚していて、演劇が演劇でなくなる瞬間を熟知していて、それでいて全く理屈っぽくない。人間の頭脳から「笑う」以外の機能を一切合切を奪い去る鮮やかな手際。段階を踏んで徐々に「恥ずかしさ」を剥ぎ取られ、知らぬ間にスタンディングオベーションよりも凄いことをやっている自分に気づいた頃には、もはや客席すら「演劇という八百長を暴かない」ための装置の一部と化しているのでした。