高天烈風弾

柿喰う客 「露出狂」
作・演出:中屋敷法仁

王子小劇場

 ガールズナイト公演(女性は割引/男性は割増)とか乱痴気公演(全配役シャッフル)とか各種イベント取り揃え、男子禁制の舞台上に出演者は女優オンリー総勢14名ときたら、楽しそうでしょう? ふわふわしてそうでしょう? けれど、蓋を開ければ重低音鳴り響く薄闇の石製十三階段に女優という名の豪傑たちが集う、そこはまさに戦場。なめてかかると噛みつかれます、ガッと。
 柿喰う客の、こう、なんていうか大伽藍には、基礎のできすぎた役者陣による寸分の狂いもない厳密さみたいな、演劇に絶対つきもののはずの「昨日と今日とで出来栄えが違う」っていうプラスマイナス併せ持つ可能性を感じさせない様式美みたいな、そういう近寄りがたい印象があったんですが、今回は違った。中盤の箸休め的な一発芸で「剛」しかなかった世界に「柔」が持ち込まれる。たとえのセンスは悪いけど、竹刀からゴボウに武器を持ち替えて暴れまわる道場破りのようなお手並みでした。