ホトケ、舞う

ペナペナG&早稲田大学演劇倶楽部 「ちょっとここ電波届かないから」
脚本・演出:須賀麻維子

早稲田大学学生会館B203

 芝居がナマモノと呼ばれているのはきっと、舞台上は見渡すかぎり広がったノイズの海だからだと思うのです。ただストーリーを語ったりメッセージを伝えたりするためだけにしては余分な情報が多すぎるのが演劇だと思うのです。「お話に感動」したり「面白ギャグに爆笑」したりするのと同レベルで「スポットライトに照らされたビーズが綺麗すぎて涙」したり「流れてきた音楽に思い出(トラウマ)掘り起こされて涙」したりすることができるなら、きっと「ヤクルトの空容器の量に瞠目」することも「花道からトロッコが飛び出してきて爆笑」することも「女子が発泡スチロールを食べる姿にドキッ」とすることさえも理論上は可能だし、実際それを可能にしちゃった奇跡的な作品だったと思うのです。
 舞台上が一分一秒たりとも休むことなくがちゃがちゃがちゃがちゃしているということが愛しくてたまらなくなる瞬間、そこで何が起きてるのか、とか、この人たちは何故ここにいるのか、とか、文脈とか整合性とか必然性とか、うるせえ、とにかく好きだ、ってなる瞬間が何度かあって、僕としてはもうそれだけで充分だったんですが。ううん、うまく言葉にできない。ただひとつ言えるのは、観といてよかった。観なきゃ絶対わからなかっただろうから。