I miss you more than you miss me

バジリコ・F・バジオ 「君といつまでも」
作・演出:佐々木充郭

下北沢駅前劇場

 だいたい僕の褒めるポイントが世間一般とずれていることは自覚しています。「え、そこで笑うんだ」「え、そこ評価するんだ」と呆れられたことも数知れない。だから、そんな僕に何を言われても信じてくれないかもしれませんが、本当に正当に真っ正面から面白かったのです。
 個人的にはバジリコ史上最高傑作と譲らなかった『ナビタイム(三鷹徒歩編)』をも超えた。ほら、こういうこと言うからややこしくなるんだけど、それはわかってるんだけど。
 そりゃまあ基本的にはナンセンス芝居だし、小道具だ人形劇*1だとギミックだらけだし、あいかわらず荒船映像かっこよすぎるし、滑舌の悪さが欠点を飛び越えて魅力にまで達してる人は出てるし、ですけど、加速しつづけるナンセンスの真ん中で不意に感情を素手で引っ掴まれる瞬間がある。設定も展開も何もかもデタラメなのに、急にエアポケットのように訪れる「泣き」の瞬間。

*1:とくに今回はバジリコとしても人形劇としても、一つ「禁じ手」を使っている。