立体への暴行

範宙遊泳 「ラクダ」
原作:『wikipedia:らくだ_(落語)』/作・演出:山本卓卓

王子小劇場

 難度A*1とされる落語の原作を刺身包丁でいったん解体し、旨いとこだけ拾い出し、味醂とブイヨンと演劇で煮込んだら身アラをまぶして白米で喰らう贅沢。たまに小骨が刺さるのさえ味になりうる、というのは落語つながりで『目黒のさんま』を連想させます。
 酒が入った熊川さんから溢れ出す狂気、全開の瞳孔、飛び出たまま焦点を結ばない眼球。垂れ幕に手をかけた瞬間、そのまま一人で素手でこの舞台全部バラシ始めるんじゃないかとさえ思った。

*1:冒頭のワンシーンはそういう意味だったのか、と観終わった今気付かされた