集まれ、浮かべ/Imagi-nation

浮世企画 「お茶を一杯」
作・演出:今城文恵

千歳船橋APOCシアター

 物心ついた頃から電話があってメールもあって、っていう間接的コミュニケーションが当たり前の時代に生まれたのに、それらに対して全面の信頼を委ねられない完全デジタル移行できない、2011年7の月・地上アナログ人類滅亡の危機に直面した僕らの偏屈讃歌。
 かろうじて点線で繋がっていた不完全なコミュニケーションを実線で書き直しながらも、最後の最後に待ち受けるものは都市伝説みたいなカタルシス。「お茶でも飲んでゆっくり話そうよ」なんて提案する一方で、普通のサラリーマンが人を刺すに到る道程を濃密に丁寧に描ききってみせるなど、あの両極に混線した思考回路(しかもどっちも本気でそう思ってる)こそが今城文恵その人の持つ面白みなんだと思うのです。
 そして「どうってことのない会話」の展開が抜群にうまい。今にもオフィスの休憩室から、居酒屋の隣の席から、電車待ちのホームから聞こえてきそうな会話たち。リアルとかリアルじゃないとかは一旦置いといても、「どうってことのない会話」を退屈せずに聴かせてしまえるのは意外と並大抵のことではないと思う。