悪魔がくれたテディベア

本能中枢劇団 「家庭の安らぎの喜びと恐怖」
作・演出:西島明

こまばアゴラ劇場

 いまだに二番煎じ的なものさえ現れていない、誰にも真似できない孤高のスタイルを押し通しながらも、「孤高」なんて言葉が似合わない不可思議な人懐っこさを併せ持った快作。
 ストローの新しい使い方、回り灯籠の意外な使い方、タナベさん(ロリータ男爵)の贅沢すぎる使い方。リアリズムが云々とかドラマツルギーが云々とかではなくてもっと条件反射みたいなもの、たとえば時報のフォント、たとえば犬の舌、光るものや音の出るものに一喜一憂し、そこから漏れ出す体温や手触りを実際に触れてもいないのに感じるっていうのは美術品の鑑賞にも似た感動なんじゃないかと勝手に思ってるんですが。動く彫刻、それはホラー、それは演劇。
 元・小道具としてのプライドから持参した焼きたての食パン一斤まるごとが、もののみごとに芝居に溶け込んでて歓喜