完全な不完全

範宙遊泳 「東京アメリカ」
作・演出:山本卓卓

@横浜STスポット

 前作『ラクダ』アフタートークでの「できないことをやらせたい」という発言に強く共感した範宙遊泳の新作は、まさに「できない」人たちの群像ぶかぶかナンセンスメイキング悲喜こもごも劇。みなぎる力強さとか過剰な自信とか大言壮語とかビッグマウスとか、そういったものを武器とする役者陣から一旦すべての武器を没収し、強さよりも弱さを重んじる。おそらく稽古場以外じゃ見せないであろう側面がちらちらと見え隠れ。完璧人間嫌い*1の僕にとっては非常に好感の持てる人物ばかり。
 ほぼ出オチ一発芸コントのようにも見えたアフターイベント『新・熊川ふみ』も、「やればできるのパロディ」と考えると奥が深い。

*1:「完璧に人間嫌い」なのではなくて「完璧人間が嫌い」なのです。