扉を閉めろ!

tsumazuki no ishi 「ハバカリ・ザマin寝覚子SA2010夏」
脚本:スエヒロケイスケ/演出:寺十吾

@下北沢ザ・スズナリ

 無計画大学生、巡査部長兼麻薬密売人、集団自殺志願者、無差別大量殺人志願者、嬰児遺棄志願者、境界例、、、どこにも行けないしどこにも戻れない、オモテ社会に憚られて弾き出された憎まれっ子たちが集う公衆トイレ(ハバカリ)群像劇。
 2時間半の上演時間中に飛び交う何百ものセリフは実は一度も相手の心にまで届くことはなく、生後3ヶ月の子供だけが真実を語る資格を持っている。なんにもない、ということが壁に反射して無意味にエコーする滑稽さと残酷さ。他人と関わりたくないから/他人に話しかけられるのが怖いからトイレの個室に閉じこもって弁当を食う、というのは実際のところ10年前の自分とオーバーラップする部分もあって耳が痛む。
 命の重さも軽さも全部その身に背負い込んで、ロックスタアのように去ってゆく寺十さんの背中に酔いしれる。