ワイヤレスな関係

ロロ 「いつだっておかしいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」
作・演出:三浦直之

@新宿眼科画廊

 再演だからといって「初演よりよかった」とか「初演のほうがよかった」とかいうのは野暮ですが、それでもやっぱり、この瑞々しさには驚かされる。じわじわと好きになる、ってことができない作品だと思うのです。一目惚れ・オア・ダイ。それはロロがストーリーの流れではなく瞬間瞬間にクライマックスをぱんぱんに詰め込んでいるからで、クライマックスをクライマックスで挟みこんで60分もの厚みになった特大アメリカンクラブハウスサンドみたいな固まりを口の中に突っこまれたなら、そりゃあもう感電したように泣くしかない。
 ロロの演出現場を何度か目にしたことがある僕に言えるのは、演出をつけた本人でさえ次の瞬間には忘れてしまいそうなほどの瞬発力と速度で塗り重ねられた閃きの数々はそもそも再演不可能だってことです。生魚なみの鮮度と足の早さでキラめいているロロの輝きは、その場に居合わせなきゃ掴み取れないものばかり。
 『スヌーピー』の世界に大人が一度も登場しないように、この世界には誰がなんと言おうと小学生しか登場しない。きっと「先生」さえも、ここに一歩足を踏み入れた瞬間から小学生になる(だから誰よりも率先して発言があぶなっかしい)。実るとか実らないとかいう損得勘定で動いていない、まっすぐに支離滅裂な小学生の恋模様。
 そして北川麗さんはほんとうに嬉しそうに屈託なく笑うんだ。