Only One より Only Once

 ちょっとずつ小道具が仕上がっていってます。プランを立てた時点では当然ながらだいたいの完成イメージが見えているのですが、そこに向かう過程で人は未知の物体と出会うのでしょう。
 何が言いたいかというと、作りかけで放置してある(塗装とか接着剤が乾いていない、などの理由で)小道具が、なんだかすごく怖いことになっているのです。いまだ完成形には程遠い状態にあるソイツは、地上に存在する何とも似ていない、まったくもって名付けようのない形状のまま、僕の部屋の一角でビニールかぶって鎮座している。埋め込まれた目玉だけが僕をみている。たぶん「その物体」の一番の特徴であろう「あのパーツ」が付いていないせいだと思いますが、それにしてもなんなんだろうなぁこの呪術的な形状は。今回の公演、『変態メルヘン』と謳っているだけあって、それに見合うだけのインパクトを小道具に求めようとしたあまり、本来は求めなくていいはずの部分のリアリティばかりが増してゆきます。こうしてまた、奇抜すぎて全く使い回しの利かない小道具が発明されるのだった。まあ、しょうがない。作ってる本人が大喜びでやってる以上、それはもう、どうしようもない。