出番は二回

 初日あけて膝笑う。
 今回、いつもとは違うポジションについている僕が感じるプレッシャーは尋常じゃないわけです。小道具だったら忙しいのは本番前だけ、本番中は(壊れたりしないかビクビクしながらも)比較的リラックスして観客席の一人に紛れられるのですが、今回のように本番中という衆人環視の状況で何かを為さねばならない経験には慣れておらず、その大変さを嫌と言うほど知る。でも嫌と言わずに済んでいるのは客席の反応があるからです。自分がボタンを押下することによって大勢の人を笑わせた、みたいな錯覚に陥ることができる役得ポジション。だからこそ、確実に笑わせたいからこそ、余計に失敗はできない。
 で、無事に初日あけて緊張解き放たれて膝笑う帰路。駅から家までの平坦なはずの道で何度もつまづきながら、しっかり笑いの起きていた今日の客席の好反応を思い返してニヤつき、つまづき、ああ、たぶん傍目には危ない人だ。