いつの日か、喉元過ぎるまで

 無事終了いたしました、と、いつものように書こうとして「無事」の定義を少し考える。
 もっと精神的余裕があればよかった、というのが偽らざる感想ですが、本番3日前に剣が真っ二つに折れるというスーパーアクシデントの前ではそんな幻想を抱く暇さえなかった。スタッフとしてかかわる以上は、いつもみたいに「俺たち面白いことやってるよ、文句ある?」というところまで気持ちを、プライドを、持って行きたかったのだけど、何から手をつけたらいいのかさえ分からないまま時間と事件に翻弄されながら気がつけば終わってしまっていたのが痛恨の極み。まあ、良くも悪くも色々と気づかされることの多い公演で、確実になんらかの糧にはなったのではないかと。
 思い通りに万事うまく行ったことなんて今まで一度もないけれど、誰にも師事していない僕にとっては失敗以外から学べることなんて一つもない。最後の最後まで塗料と接着剤を手放せないほど忙しい公演だったのに、絶対にもう立ってられないほど疲れているはずなのに、まるで眠気を感じないランナーズハイの午前6時現在。