わたくしどものナイーヴ

  • 「マニュアルのない仕事ですが、オートマでもありません。」というのはNichecraftの没キャッチコピーのひとつ*1ですが、マニュアル(正攻法)がないくせにマニュアル(手仕事)に頼るほかないこの作業には基本的な弱点があって、ことあるごとに僕の前に立ち塞がってきて困る。
  • 僕の作る小道具は、いや誰の作る小道具もそうだとは思うのだけれど、残念ながらリアリティに対して干渉せざるを得ないのです。どんなに精巧に作っても「本物」と「作り物」の間の壁は分厚く、ぱっと見「あっ作ったな」感は拭えない。たばこ屋の軒先の鉢植えを血走った眼で睨みまわして10分弱(たばこも買わないで)、それは事実と受け入れるほかないのだと思い知る。幸いにして美術が突拍子もないほどの具抽象(どっち)なので、そこにさえうまく溶け込めれば勝算は一応あるはず。ファンタジーなら負けないよ、と、密かに思って息巻いて。
  • で、通し稽古。全員が自分の武器をしっかりと手にしていて、確変に次ぐ確変を起こしてて目を合わせらんないほどの人も数名。東京に出てきて6年、初めて心底から「女優ってこわい」と肌で感じた瞬間でした。

*1:文脈だけ辿ると良いところなしに見えるのが却下の理由でした。