発展途上の五倍の二乗


 なんか着実に完成に近づいてると思ったら一週間前だった! 連日連夜の作業に一区切りつけるべく、小雨の中を自転車で足がくがくになりながら、小学生とかに怪訝な目で振り向かれながら稽古場へ。
 僕の焦りはピークを過ぎて最早フラットな水平線を描く。心電図だとしたら死んでんだけど、浮き輪でウトウトしていて沖まで流された人の諦念とでも云いましょうか、今更じたばたしても仕方ないやと心は実に澄み渡り静かなもんです。たとえ体力が限界だとしても、とりあえず泳いで陸まで戻るしかないさ。あいもかわらず右手に刷毛を、左手には「水と澱粉と酢酸ビニルエマルジョンが1:20:3のやつ」を持って。これまでも、そしてこれからもひたすら持久戦の日々。
 完本して一気に引き締まった劇世界は、あとは個々の課題に委ねられながら熟成を続けています。純度100%濃縮こゆび侍の現在がここにある。こんな芝居してる劇団、他にいないと思いますよ。