2010年右脳の旅


 『旅、旅旅』は、もしかするとロロによる平成版『さようなら、ギャングたち』かもしれない。
 っていう僕のコメントが本番始まる頃には嘘八百になってしまいかねないくらいに、試せば試すほど激変してゆく演出。1からどころかゼロから世界を組み立てては壊し、組み立てては壊しの天地創造試行錯誤。神様でさえ7日もかかった作業をロロは残り3週間ちょっとで成し遂げようとしているわけで、そんな無謀に付き合わない手はないなと心を引き締めなおす。小道具への三浦氏のこだわりポイントも、なかなかそこを突いてくる人はいなかったし、僕もあまり深く考えたことがなかったけれど、言われてみればそれはまさしく演劇の根源を問う指摘。すみません私が浅はかでした、精進いたします。要するに、燃えてきました。
 三浦氏が言いたいことはきっとこの上なくシンプルで、わざわざ演劇にするまでもなく口にするだけなら2、3秒で言えてしまう言葉なんだと思うのです。けど、それを口にしただけでストレートに額面通り伝わってくれるほど現実は甘くない。だからこそこんなに回りくどい手続きを踏んでいるわけなんですが、逆にいえばシンプルなことはどんなに遠回りしても最後にはきちんと伝わる、っていう確信ありきの作品でもある。知ってますか、「メタ演劇」を逆さから読むと「激エンタメ」になることを。