イッツアスモールテキスト

豆本フェスタ2
@東京卸商センター3F

 きっかけは池袋ジュンク堂書店で手にした『くすりのリスク』という一冊の本でした。「かわいさ」と「ユーモア」と「コドモ狂気」を兼ね備えた、握りこぶしの中に隠し持てるほどの小さな本。そこからいろいろ検索に検索を繰り返してたどり着いたイベント。祖父江慎を信奉し、完全我流で製本たしなむ身としては行かねばなるまいと浅草橋へ遠征。
 一般に豆本の校正は甘いらしいのですが、ミクロな世界だからこそ最小限の、けれど作る人からすれば最大限*1のアイデアが詰まっているそれは、素材の手触り、重さ、紙の繊維密度にいたるまでじっくりと昆虫標本のように眺められるばかりか、なんと! 本としても読めてしまう。当たり前か。
 なにより豆本って何冊買っても全然かさばらないので、ひとくちケーキバイキングの理論で次々と手にとってしまい、あやうく帰りの電車賃まで食い潰すところだった。ただ幸か不幸か、もとよりそんなに持ち合わせがなかったのもあって、結局買ったのは以下の5冊。

  • 影酔堂 『敷衍する物騙り・岐』
  • ソラミミ 『1行詩集・指』
  • バッカス出版 『二日酔いの豆本 〜行動編〜』
  • 花霞堂 『文庫姫』
  • 花霞堂 『図書館棟ワルツ』

 個人的には花霞堂がお目当てだったので手に入って嬉しい。細部までおそろしく丁寧に手の込んだ装丁の、職人芸と遊び心の間で揺れる感じに憧れる。

*1:試してみたいことを試しているだけで余白は全部埋まってしまう。「ここらへんは別にどうでもいいんだけど」みたいな部分は残らない。