あなたのひとみにうつしたい


 今月もあとわずか、つまり『あなたのひとみにうつらない』本番まであとわずか。ですが今日は「たすいちの小道具さん」ではなく「みんなの小道具さん」として、偏愛ではなく博愛の精神でもって諸々並行作業。外の暑気と中の冷房と合間の頭痛とたたかいながら、なんだかじんわり労働の喜びを噛みしめたりもして。
 「すごい小道具さん」なんて器じゃないし目指したいところでもないし、「また一緒にやってみたい小道具さん」になりたくてみんなの興味を引こうと必死なのです、それだけはわかってほしいのです。だからあなたが今日たぶんその場の思いつきで言っただけかもしれない発注にも僕は全霊で応えるから覚悟なさいませ。
 通し稽古見るのは今日で2回目ですが、演技の精度として前より上回っているというのも勿論あるけれど、回数重ねれば重ねたぶんだけ「憎めなさ」が増幅してゆく総勢63名(のべ人数)のキャラクター。5秒程度の出番しかない登場人物にまで惜しみなく愛着をちりばめた目崎ワールドの住人たちは着々と脚本から離陸して舞台上に実在し始めています。このまま加速をやめなければ巨大な推進力が得られるはず。その瞬間を見たいし、見せたい。