クロムモリブデン「血が出て幸せ」

血反吐と幸せ

終わらないかのように思えた日々が終わりました。4月頃からちょくちょく稽古に顔を出し、そのたびに何らかの試作品を持参し、綿密な打ち合わせを繰り返し、焼いたり溶かしたり組み合わせたりで過ごした日々が。まるでライフワークのように長く感じた時間は…

手加減無し

自分は今まで一体何を作ってきたんだろう、そう思わせるほどに連日連夜ばったばったと薙ぎ倒されてゆく我が子たち。役者の上がりきったテンションから放たれる本人もコントロールできないほどの運動エネルギーの前では、厳重な補強も飴細工に等しいのです。…

偏頭痛ウェンズデイ

起こり得ることは起こるべくして起こる。かたちあるものは遅かれ早かれ壊れる。人も小道具も重力には逆らえない。そういうことです。そういうことですよね? あとを見事にフォローする人がいて、なのに事態を攪乱する人がいて、甚大になる被害があって、爆笑…

ダンスフロアじゃあるまいし

今日から新宿。シアタートップスの奈落の底に(比喩とかじゃなく)存在する楽屋で残務をこなす。とはいえ大半は搬入時に取れたり壊れたりしたパーツの接合だけなので、大阪よりは余裕をもって本番眺められそうです。ただ、今までにないくらい破壊的な(比喩…

進化論

東京バージョンはすでに進行していました。約2週間ぶりに酸素を吸ったような気分で生き返る稽古場。 当たり前のことですが大阪公演とは上演場所が変わります。でもそんなの作品の良し悪しには直接影響しないでしょ、とか不勉強にも思い込んでたんですが、違…

終わったけれど始まってもいない

矢のように時は過ぎ、もうすぐ東京に帰りますが「東京に帰る」という当たり前の移動よりも「大阪を去る」ことへの感傷の比重が日に日に高まっていった数日間でした。土地勘がなくても地元は地元に変わりなく、いつかはこっちでもコンスタントに小道具稼業が…

赤魔導師と呼ばれて

しあわせは歩いて来ないと言うのなら、連日ぞろぞろ劇場内に歩いて入って来るあの人たちは誰なんだ。高揚感が一向にピークを過ぎてゆかないまま、すでに半分が終了。 なぜか東京の天気予報をチェックして炎天下に傘持って出かけたり、新品のカッターナイフ替…

サウンド・オブ・サイレンスが聞こえない

七月十日晴天。観覧車に見守られ、ついに小屋入り、最終調整作業に入る。もちろん小道具だけじゃなく他セクションも順調で、とくに音響には度胆を抜かれる。年末に下北沢駅前劇場で出してた爆音が(周囲からの苦情を慮って)いかに手加減されたものだったか…

この期に及んで何をか言わんや

ところで今回のテーマは「ウソ」なのですが、まさか大阪公演自体がウソなんてことはないよな。実はクロムの人など誰も来てはおらず、僕だけがHEP前に立ちつくして警備員に不審の瞳で見つめられ、見上げれど観覧車は回っておらず、空は書き割りのような青さで…

さらば東京まであと47時間

指先を火傷したり、喉の奥に口内炎ができて食べるのも辛かったり、わずか2日間にボールペンが3本も壊れたり、いろいろありましたが僕は呪われてなどいません! むしろこれは祝福の奇蹟だと、いつになく強引にプラスへ転じてみる。 だってもう時間がないん…

Count Five For Me

本番初日まであと10日。 小屋入りまであと9日。 大阪移動まであと8日。 小道具最終〆切まであと5日。 具体的に数えてみると、俄然、焦る。 昨日で最大の山場は越えた(はず)。なにしろ、またしても我が家のバスルームが猟奇的に汚れましたから。他の部屋…

人のティーシャツを褒めるな

壊したとか、増えたとか、「小道具に関する言い出しにくいこと」がある時にはとりあえず僕のご機嫌をとることから、という変な規則のせいで(僕が強制したわけじゃないことだけは声を大にして言いたい!)最近じゃ褒め称えられるたびに人間不信です。しかも…

陣地

雨の中を小道具運ぶのに紙袋じゃダメでした。水を吸ってふやけた袋の底から、あんな小道具こんな小道具の先端が飛び出してネタバレさせろと自己主張を始めるのを、軒下で立ち止まっては片っ端からガムテープで塞ぐ往路。よりによってこんな日に、持っていく…

あっけにとられる準備はできたかい?

先日、領収証の名前をクロムモリブデンでとお願いしたら「クロブモリムネンですね!」と元気いっぱい復唱確認されました。なんやねん誰やねんモリムネン。伝えられなかった自分の滑舌が何より無念。 こちらの準備は騒々しくも粛々と着々と進んでおります。伊…

そろそろ夜行バスの手配を

大阪公演まであと一ヶ月ちょっと。だけど万物は流転するし小道具プランも流転するのです。「固めてしまった芝居はつまんない」という青木さんの言葉も痛いほどわかるだけに、毎回毎回なにかしら試作品を持ち込みながら徐々に固まっては溶け流れるゲル状の稽…

食べられません食べれるまでは

汚れつちまつた流し台に、 今日も自炊のできかねる。 年に一度くらいの周期でやってくる、台所が主戦場と化す特殊発注。「もう小道具の範疇じゃない」と巷でも噂の品物ですが、それを何度も作ってる僕は一体何道具なんだよ、と思う。そもそも「小道具の範疇…

建設的実験室

本日は強力なスタッフfrom和歌山を迎えての美術・小道具強化稽古。試せそうなことは片っ端から試してみるのが頭で考えるより一番の近道と悟る。 もう「一人でも多くの人に見てもらいたい」なんて月並みな望みは捨てていきます。捨てるというか、わざわざ掲げ…

コミュニケーション水位上昇

金曜恒例となりつつあるクロム訪問。稽古場に入るとハムスターがいました。正確に言えばハムスターっぽい人。いや、でもあれは絶対、本物以上にハムスターだった。なにしろ何回見ても笑えるのがすごい。本物のハムスターを何回見たって、あんなに笑えないで…

鶴の一声/Re:サイクル

今回の公演のスローガンは『おばちゃん心をわしづかみ』だそうです。あまりの名フレーズに演出助手のノートにも書き込まれるほど。それを踏まえた上での「ドリンクバーと尿検査の交錯するエチュード」、その設定だけで笑い死にそうになる。 写真のヘルメット…

うれしいけど悲鳴

クロム稽古場。いろいろ試してもらったり、いろいろ勝手にイメージを思い描いたり。 台本から拾い出した小道具の数はそう大した量でもないのだけど、後から打ち合わせれば隠し持ってる手数のなんと多いことか。発想が発想を呼び、妄想と合体して膨らみ、本来…

くすぶり飽きた

クロムモリブデンから『マイナス1稿』と名付けられた台本がメールで届いたので、早速印刷して読む。読み漁る。とりあえず3回くりかえして読む。青木さん特有の句読点ナシ文体によって見る者に速読術を強要するような圧倒的なテンポの良さで綴られるハイテ…